分かりやすく

文章は流れを分断しない!

同じことについて書くなら、1箇所にまとめる

 文章が上達するためには、素直であるのが一番です。

 小説家になるわけではないので、凝ったことをしようとしないで、まずは基本を忠実にマスターすること。

 新聞記者のデスク時代に、若い記者の原稿を直してきて、よくあったのが今回のような文章です。

 ほとんど本人は無意識でやっているのですが、あることについて書いてある箇所が文章の中で分散している、言い換えると、別の内容が間にあるために分断されているパターンです。

 文章では、同じことについて書くなら、1箇所にまとめるのが基本です。

 中には、「これは、あえて1つの内容を、2箇所に分けることで読者に印象づけているんですよ」などと、言い訳する人もいますが、そんなことしないほうが懸命です。

 文章は、流れるように書くのが一番いいのです。

分断していると…

例文1 山之上小学校は、A駅の近くにあります。川之下中学校は、隣のB駅から歩いて10分です。山之上小学校はピンク色の校舎が目印です。

 こんなことを平気でやるんです。

 簡単な例文なので、これを見た人は「こんな文章、書かないよ」と思うかもしれませんが、もう少し長い数十行程度の文章だと、気づかず、やってしまいます。

 当然、次のように直すのが好ましいということになります。

例文2 山之上小学校は、A駅の近くにあります。ピンク色の校舎が目印です。一方、川之下中学校は、隣のB駅から歩いて10分です。

関連性の強い情報はまとめる

 関連性の強い情報がバラバラに出てくる文章は、分かりにくいのです。

 あることについての内容はまとめるのが基本。関連性のある情報は整理して1箇所にし、分断しない。

 図にすると次の通りです。

 図1は、aについての情報が分断され、図2はまとまっている。当然、図2が望ましいということです。

図1

図2

主語を削れるメリット

 実は、同じことについての情報をまとめることで、もう1つメリットがあります。

 例文1では、「 山之上小学校は 」という主語が2回出てきます。例文2では、2つ目の 「 山之上小学校は 」 が不要になりますので、その点でもすっきりします。

 この主語の省略というのも、日本語を簡潔に書いていく上で、とても重要です。

 詳しくは、こちらの記事を参照してください。

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ABOUT ME
井上 昇治
1964年、名古屋市生まれ。新聞社で約30年間、記者を務めた後、社内の教育・研修部門で、企業研修、大学の授業、自治体の生涯学習講座などを担当。記者時代のスキルに独自のアイデアを盛り込んだ教材を開発中。社会人として、あるいは趣味で文章を書く人の道しるべになるポータブルスキルとしての「伝わる文章」の書き方を伝授している。