簡潔に書く

②動詞の連用形+読点は、1回のみで

文章をだただらさせない

 文章をだらだらさせないためには、文章を短く切ることです。

 中でも、「動詞の連用形+読点」でつなぐのは、原則、1回のみにするといいでしょう。

 文章を書くとき、「動詞の連用形+読点」でつなぐと、時間軸に沿って書けるし、とても楽なので、ついついやってしまいます。

 この癖をつけると、文章がどうしても、だらだらして、締まりがなくな ってしまいます。

 知らないうちにやっていて、結果として、リズムが悪く、読みにくくなるというのは、よくあることです。

 ①で、「文章を短く」と説明しているので、それで十分なのですが、実践的なコツとして、ぜひ頭に入れてほしいポイントです。

 私は、「動詞の連用形+読点」は、1つの文で1回までという自分だけのルールを決めることで、簡潔な文章が書けるようになりました。

「動詞の連用形+読点」 が2つあるケース

例文1 各チームは、団結のしるしに旗を作り、そこに寄せ書きをし、みんなの一体感を高めました。

 悪くはないですが、冗長です。ここでは、「…作り、」「…寄せ書きをし、」と「動詞の連 用形+読点」が2カ所出てきます。

 ぎりぎり大丈夫なレベルかなという気もしますが、でき れば「動詞の連用形+読点」を1カ所にしたほうがベターです。

 なぜ、こういうことが起きるかというと、「作る」「寄せ書きをする」「一体感を高める」という時間の流れをそのまま書いたからですね。

私なら、こう直します。

例文2 各チームは、団結のしるしに旗を作りました。寄せ書きもし、みんなの一体感を高めました。
例文3 各チームは、団結のしるしに旗を作り、寄せ書きをしました。みんなの一体感を高めることができました。

 どちらでもいいと思いますけど、微妙に意味が変わりますね。

 例文2だと、「特に寄せ書きをすることによって一体感を高めることができた」ことになり、例文3だと、旗を作って寄せ書きをしたことで一体感を高めることができた」ことになります。

 まあ、たいした違いはありません。

もう1つの方法は

 実は、このような場合、もう1つ、別の直し方があります。

 これも覚えておくと便利なので書いておきます。これは、「動詞の連用形+読点」の1つを前に出して、名詞を修飾する方法です。

例文4 各チームは、団結のしるしに作った旗に寄せ書きをし、みんなの一体感を高めました。

 これだと、読点が1つなので、すっきりします。意味としては、例文2に近いですね。

 つまり、「寄せ書きをしたことが一体感につながった」という意味合いが強くなりま す。

 ただ、「団結のしるしに旗を作った」ことが強調されず、それが少し前にあったような印象も与えます。

 このあたりは、微妙な意味の違いもあるので、ケースバイケースということになるかもしれません。

 この「動詞の連用形+読点」を名詞を修飾する形にして前に出す方法は、いろいろなところで使える方法です。別のところで、より詳しく紹介します。

ABOUT ME
井上 昇治
1964年、名古屋市生まれ。新聞社で約30年間、記者を務めた後、社内の教育・研修部門で、企業研修、大学の授業、自治体の生涯学習講座などを担当。記者時代のスキルに独自のアイデアを盛り込んだ教材を開発中。社会人として、あるいは趣味で文章を書く人の道しるべになるポータブルスキルとしての「伝わる文章」の書き方を伝授している。