脱ダブリ

「で」の反復は避けよう

「で」が続くと気持ち悪い

 「で」の反復といっても、何のことを言っているのかと思う方もいるでしょ う。

 文章を書いていて、重なりやすいのが、助詞の「で」と「の」です。 ここでは、まず「で」について考えてみましょう。

 重なったら、ほかの言葉に言い換えるのが原則です。重なっても平気な人がいますけど、文の調子がかなり悪くなります。「で」が連続すると、本当に気持ち悪い。

「~のため」を使う

 こんな場合です。

例文1-1 寝不足で、ふとんの中で2時間、過ごした。
例文1-2 滞在中のラトビアで、コロナで死去した。

 このようなケースでは、「で」を1カ所にして、ほかの「で」は別の言い方に直すのがいいです。

 まず、例1-1から考えてみましょう。

どちらの「で」のほうが直しやすいかを考えます。

 例文1-1の場合、多くの人は、「寝不足で」の「で」を違う言葉に代えようと思うのではないでしょうか。

例文2-1 寝不足のため、ふとんの中で2時間、過ごした。

 この「で」は、原因・理由を表しますから、「のため」にするだけで改善しました。 とても簡単ですね。

例文2-2 滞在中のラトビアで、コロナのため、死去した。

 これも同じ。これだけで「で」が続く嫌な語調が改善されます。 別の方法もありますので、紹介し ます。

ちょっとした工夫で解決

例文2-3 ラトビアに滞在中、コロナで死去した。

 ちょっとした工夫で、「で」の重なりがなくなり、読みやすくなるのです。

例文3-1 独自のスタイルで国内外で作品を発表している。

 例文3-1は、どうしましょうか? 場所を示す「で」は変えにくい場合が多い。となると、「スタイルで」の 「で」を変えた方が良さそうです。

例文3-2 独自のスタイルによって、国内外で作品を発表している。

 「で」を「によって」にすると、すっきりしました。

 次は、どうでしょうか。

例文4-1 学校でみんなで選挙で委員長を決めた。

 これは「で」が3つも続きます。 やり方は1つではないですが、次のような回答も可能ですね。

例文4-2 学校で、みんなの選挙によって委員長を決めた。

 「で」の連続は、文の流れを乱します。注意して、言い換えましょう。

ABOUT ME
井上 昇治
1964年、名古屋市生まれ。新聞社で約30年間、記者を務めた後、社内の教育・研修部門で、企業研修、大学の授業、自治体の生涯学習講座などを担当。記者時代のスキルに独自のアイデアを盛り込んだ教材を開発中。社会人として、あるいは趣味で文章を書く人の道しるべになるポータブルスキルとしての「伝わる文章」の書き方を伝授している。