心に響く

ありのままを書く

何を書いたらいいのか分からない

 「何を書いたらいいのか分かりません」という声をよく聞きます。自分らしく書くのがいいと言っても、その自分らしさが分からない。

 特に、就活中の学生などは、志望動機が書けないといいます。平凡になってしまうというわけです。

 でも、私は、平凡でいいと想っています。だって、平凡にしか書けないでしょ。実際に平凡なんだから。

 私が就活をしていた1980年代後半は、バブルに向かう時代でした。マスコミ志望だったのですが、金融などの一般企業や公務員も受けたので、志望動機も何度も書きました。

 マスコミの試験では、作品が合否を決めたので、作文力をつけるのが必須でした。

体験を書け!

 当時、よく言われていたのは、「体験を書け!」ということでした。

 どういうことかと言うと、志望動機を書くにしても、課題作文を書くにしても、アタマで考えたことを書くだけでは、違いが出ないし、説得力がない。

 文章というのは、実体験が基になっているからこそ、相手に刺さるというわけです。

 例えば、PREP法でいえば、最初と最後の《結論》の部分で、個性を出すのは難しいから、結論に挟まれた《理由》と《具体例》で差をつけよう、ということです。

 この《具体例》というのが、まさに《体験》です。

 実際には、作文の場合は、PREP法のように《結論》ではなく、《体験》から書き始めることが多いのですが、志望動機につながる《体験》を重視することには変わりありません。

 アタマの中で、「自分らしさ」を考えても、なかなか思い浮かばないかもしれません。

 でも、《体験》なら書けます。強さも、弱さも悩んだことも含めて、そこに「自分らしさ」が表れます。

 具体的な方法論は、別の機会に詳しく紹介します。

ABOUT ME
井上 昇治
1964年、名古屋市生まれ。新聞社で約30年間、記者を務めた後、社内の教育・研修部門で、企業研修、大学の授業、自治体の生涯学習講座などを担当。記者時代のスキルに独自のアイデアを盛り込んだ教材を開発中。社会人として、あるいは趣味で文章を書く人の道しるべになるポータブルスキルとしての「伝わる文章」の書き方を伝授している。